ある引越し屋さんとの会話

(2013年4月15日執筆)

ネットで引越の見積をお願いしたところ、ある引越し屋さんのスピード感に圧倒され、しかも見積もり時の顧客とのエンゲージメントの構築方法に感銘をうけたのでシェアします。

スピード感に圧倒!

パートナーとチャットしていて、「ああ、もうそろそろ引越しの相見積とらなきゃね」と思ったのが夜9時頃、チャットしながらネットで引っ越しやさんのサイトを見つけ、見積もりを依頼しました。

「明日明後日には結果が出るだろうから、そこから業者選定に入ろう」と思っていたところ、見積もりフォームの「送信」ボタンを押して5分もたたないうちにある引越し屋さんから入電。翌日の午前中の訪問が確定しました。

このスピード感に清々しささえ覚えました。

早速訪問見積もり

翌日午前10時、営業マンが訪問。サクッと家具や荷物をチェックします。

引越しの規模を計算したり、見積書類に書き込んだりしている間、彼と僕で結構雑談をしました。世間話から始まって、1時間近く話をしたと思います。営業マンは見積もり作業とあわせて約1時間半滞在しました。

値段交渉の際に、引越しの価格の決め方の話から、オペレーションの話題に発展したので、興味を持った僕は色々質問してみました。そして面白い話をきくことができました。

引越し作業の担当者はすべて社員

この引越し屋さんでは、いわゆる「日雇いさん」は全く使っていないそうです。

理由は作業員の質をキープすること。スキルがバラバラで作業方法が標準化されていない作業員よりも、同じ方法で訓練されたロイヤリティーの高い社員のほうが効率が上がるのは当然ですね。

もう一つの理由は荷物の全体を把握し、段取りをし、作業分担するためには結構コミュニケーションコストがかかります。同じ間取りの家は会っても、同じに家具や荷物の構成の引越しはないからです。効率を上げるためのパターンを共有していて、モチベーションも似たような少数の作業員で作業するのが早いです。これはソフトウェア開発されている方ならすごく納得出来ると思います。

ちなみに、住宅の引越しは、規模にかかわらず3人くらいでするのが一番効率が良いそうです。どんなに荷物があっても、普通玄関は一つなのでそこでボトルネックが発生し、作業員を増やしても効率が上がらないからです。

一年の中でピークとそうでない時期の差が激しい引越し業界

でも、引越しは年中まんべんなく依頼があるわけではないですね。年度末などに集中して件数があります。作業員を臨時雇いではなく固定リソースとして抱えているとすれば、閑散期のリソースのコストが無駄になりますね。

この引越し屋さんでは「営業」と「現場」の人材を融通させることによりこの課題を解決しているそうです。つまり、営業も現場も出来る人をたくさん養成しているそうです。

なぜこれでリソースの配分が出来るかというと、営業が忙しい時期、見積もりしたりする時期と実際に引っ越しが行われる時期にタイムラグがあるためです。1月2月くらいに引越の見積がたくさん来て、3月4月に引越し作業のピークが来るのです。

この人材の融通によってもたらされるメリットがもう一つあります。それは営業と現場がそれぞれお互いのやっていることへの理解が深まるということです。両方の仕事をする人が多いから当然ですね。これによってオペレーション全体のコミュニケーションコストがぐっと下がります。

世間話も成約へのプロセス

1時間近くの世間話は一見無駄に感じられます。しかし、これは見積訪問でのプロセスの一つなのではと思います。今回は引越しのオペレーションについてたくさん話してくれたのですが、これは「顧客の興味がありそうな話題を話すことで、親近感をもたせ関係をやわらかにし、結果的に成約につなげる」ための方法だったのかもしれません。

実際に、僕は営業マンの話に納得し、信頼を感じることができました。今までに経験した引越しの価格感と、見積もり方法の透明感のある説明から、僕はこの引越し屋さんにその場で決めました。

ちなみに同時に相見積をお願いした他の引越し屋さんからは、さらに翌日の午後に電話が入りました。残念でしたね。

 

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